「人件費って高いよな。少し削ったほうがいいのかな……」
起業して社員が増えてくると人件費というのが重みになってくるでしょう。
実は人件費といっても様々な種類があるのをご存知でしょうか。
この記事では人件費とはどのようなものか、また人件費の種類。そして様々な業界の人件比率を紹介していきます。
人件費を削減しようとしている方は一旦、この記事を読んで頂いて本当に人件費を削減したほうがいいのかもう一度考えてみてください。
目次
人件費とは?
一般的に人件費は給与の2倍前後になるといわれています。
給与以外にも賞与や交通費なども含めるからです。
簡単な計算をすれば、大卒初任給が月20万円だとするとだいたい40万円前後、月に人件費として計上していることになります。
人件費は会社を経営していくうえで必要不可欠なのですが、若干高めになってしまうのも現実。
特に中小企業や起業したての経営者にとってはネックになってしまっています。
7種類の人件費
人件費は大きく7種類に分けられます。
この項では7種類の人件費について詳しく説明していきます。
給与手当・賞与
人件費と聞いて真っ先に思いつくのが給与や賞与です。賞与はボーナスともいわれています。
給与も賞与も従業員が会社で働いた対価としてもらえるものです。また残業手当や通勤手当、家賃補助なども給与の中に該当するといってよいでしょう。
仮にアルバイトやパートとして雇った場合。雑給と扱われることもありますが、給与手当と同じだと考えてください。
専業者給与
配偶者や家族に従業員として雇っている際に支払う給与のことです。
一般的な社員と違い家族を従業員として雇っている場合、いくつかの条件をクリアすることで、専業者給与として認められ節税効果にもなります。
また白色申告の専業者給与は、配偶者が86万円。そのほかの親族は50万円までと決まっていますが、青色申告の専業者給与の場合は金額が決まっていなという特徴があります。
役員報酬・役員賞与
役員報酬は社員でいうところの給与。役員賞与は賞与ということになります。
どうして給与のことを役員報酬、賞与のことを役員賞与というのかというと、税務上の取り扱いが違うからです。
社員の場合は、全額損金として計算することができます。損金とは法人税を計算する際、収益から差し引くことができる費用のことです。
逆に役員報酬や役員賞与を損金に算入する場合、定款や株主総会での承認などの条件があります。
また通勤手当や家賃補助といったものも役員報酬には含まれることはなく、支給されることもありません。
つまり社員と役員では税務上の取り扱いが違うということになります。
福利厚生費
社員旅行や結婚や出産など福利厚生費です。
福利厚生費とは会社が従業員に対し給与などとは別のプラスαを支給するというものだからです。
最近では福利厚生として社内運動会なんていうに行っている企業もあるようです。また忘年会や新年会なども福利厚生費として認められています。
法定福利費
法定福利費というのは健康保険、介護保険、厚生年金保険を合わせた社会保険や雇用保険や労災保険の労働保険の企業側の負担のことをいいます。
法律上、企業側が社会保険や労働保険費の一部もしくは全額を負担しなければならないことになっているので、避けることはできません。
退職金
人件費の中でもかなりの割合を占めているのが退職金です。
退職金は『過去の労働の労い』の意味と『過去の労働に対する対価』の2つの意味をもっています。
また、退職金の制度には、年金として一定の金額を数年間支払われる企業年金制度と、退職時に一括して貰える退職一時金があります。
研修費など
企業によってですが、研修費などの人件費に含むところもあります
人件費を広く見た場合、研修費も人件費の一部としてだからです。
例えば社内の英語の研修や良い人材を採用するための人材研修費などがあたります。
人件費削減で発生するメリット・デメリット
結論から言ってしまうと、安易な人件費削減をするべきではありません。
もちろん実際人件費を削減することでメリットはありますが、それに伴うデメリットもメリット時用に大きいことを覚悟しておかないといけません。
この項では人件費削減することのメリットとデメリットを説明していきます。
人件費を削減する2つのメリット
人件費を削減することで会社に与えるメリットは2つです。
1.人件費の削減で他の費用も安くなる
従業員を減らすことで人件費だけではなく、様々なものを減らすことができます。
社員がいることで発生していた様々な経費が軽くなるからです。
例えば水道や光熱費それに社員が少なくなると、賃料も安いところに移ることも可能。このように人件費を削減することで様々な経費が相乗効果で減らすことができます。
2.削った人件費を他のところに回すことができる
余った資金を他のところに回すことができるというも、人件費削減のメリットです。
人件費削減で余裕ができたら、弱い部門にテコ入れすることや強かった部門をさらに強化すること。またほかの事業に参入など、様々な戦略をとることができるからです。
例えば日産自動車は2兆円あまりの有利子負債を抱え、日産自動車東村山工場などを閉鎖と大幅な人員削減をした資金で、車種のデザインを刷新しただけではなく、次々に新車を投入したことで日産は大幅な黒字回復をします。
日産自動車のように、人員削減をした資金で弱点だった部門の強化などを図ることができます。
人件費を削減する2つのデメリット
人件費を削減することで生じるデメリットは2つです。
1.人材の流出
人件費を削減すると決まった場合、派遣社員やバイトなども対象になりますが、一般社員にも人件費削減の対象にしないといけないでしょう。
一般社員の中でも会社に長くいた一般社員が給料も高いので人件費削減の対象になりやすいといわれています。
実際日本でバブルが崩壊して、大規模なリストラがあちこちの企業で行われた際、リストラをされた優秀な技術者が、韓国や中国の企業に迎えられた、という話は有名です。
長く会社にいる社員は給料が高い分、高い技術を持っていることが多いです。そのような方が外部に流出してしまうことで、技術の継承ができずに会社尾の成長が鈍くなってしまうでしょう。
2.仕事の負担が増大
従業員が少なくなれば、それまで割り当てていた仕事量も多くなります。
一人当たりの仕事量が増え、残業時間も増えてしまう可能性もあるでしょう。
逆に人件費削減をしたにも関わらず、人件費の削減以上のコストになってしまうことが予想できます。
人件費を正しく設定するために知っておきたいこと
では人件費が高い。人件費が安いというのはどこでわかるでしょうか。
それがこれから説明うる人件費を計算する手段です。
人件費率とは?
自社の売上に対し、人件費の割合がどのくらいかを示すものが人件費率です。
無作為な人権削減をするのではなく、データーでどのくらいなのかを知ることで無用な人権削減を防ぐことができるでしょう。
人件費率には計算方法があります。
人件費率(%)=人件費÷売上×100
人件費率が高い場合人件費の割合が高く、低かった場合は人件費の割合が低いということです。
また人件費率の業種にもよりますが30~70%になるとされています。
労働分配率とは?
労働分配率とは付加価値に対する人件費の割合のことです。
まず付加価値というのはどのようなものなのかを説明していきます。
付加価値というのはある商品を生産することで発生する価値。または独自のサービスによる価値のことです。
労働分配率を出すには以下の公式で出します。
労働分配率(%)=人件費÷付加価値額
一般的に労働分配率が低ければ、効率よく利益を出しているといわれています。
ですが低すぎる場合は、従業員の給料は会社の利益の割に低いということになります。逆に労働配分率が高い場合、会社の利益に対し人件費が高すぎるという状態です。
つまりバランスをとるということが最も重要ということになります。
人時売上(にんじうりあげだか)とは?
人時売上(にんじうりあげだか)は、飲食店や小売業で使用される経営指数です。
従業員1人が1時間働くといくら売上を得ることができるのかを、表したものとなっています。
人時売上は以下の公式で表すことが可能です。
人時売上=店舗の月間売上高÷店舗の月間総労働時間
店舗の月間総労働時間は、アルバイトや店長など店舗で働いている人全員の労働時間を合わせたものです。
また基本的には人時売上の数値が高ければ高いほど良いとされています。
ちなみに個人営業の飲食店では、3000円から4000円を人時売上に設定しているといわれています。
では一つ例を出して説明していきましょう。
例えば1日10万円を売り上げたいと思っているカフェが、人時売上を3000円に設定しているとします。
この場合、10万円(目標売上高)÷3000(目標人時売上高)=33.3時間(総労働時間)という計算が成り立ちます。
つまり総労働時間を33.3時間以内に抑えることができれば、10万円の売上を達成することができるとうことです。
このように人時売上を設定することで、従業員のシフトを組む際にも非常に役立ちます。
人時生産性とは?
人時生産性(にんじせんさんせい)も人時売上と同様に、飲食店や小売業で使用される経営指数です。
ただ、人時売上と違うところは従業員1人あたりの1時間あたりの生産性(粗利)を表すものというところです。またある店とある店を比較する際にも仕様されます。
人時生産性を出す公式は、以下の通りです。
人時生産性=粗利高÷総労働時間
人時売上と同じように人時生産性の数値が高ければ高いほど良いとされています。
先ほどと同じように考えてみましょう。
例えば、A店のカフェの売上が200万円。粗利率100万円。従業員が10人で総労働時間が50時間。
そしてB店のカフェの売上が150万円。従業員が10人で粗利率70万円。総労働時間が30時間だったとします。
A店B店を人時生産性の公式に当てはめるとこうなります。
- A店 100(万)÷500(時間)=2000円
- B店 70(万)÷300(時間)=約2300円
結果B店の方が若干でしが効率的だということが分かります。
従って人時生産性はいくつかの店舗の効率性を比較するときに使用すると良いでしょう。
効率のいい人件費率は業界によって異なる!
最後に各業界の人件費率はどのくらいなのかを書いていきます。
IT業界の場合
成長著しく、常に優秀な人材を募っているのがIT業界です。
IT業界といっても、幅広いので一概に高い低いとは言い難い状態となっています。
例えば広告制作業は25.6%と低めですが、情報処理サービスとなると55.1%と非常に高いというのが実情です。
IT業界はジャンルによって人件費率に差があるのが特徴です。
整骨院の場合
商品を提供するのではなく、自分自身の技術によって売上をあげることができるのが整骨院となっています。
人件費率は25~30%に推移。
自費診療は増えているが、保険診療は年々減少していっているのが整骨院業界です。
士業事務所の場合
士業とは弁護士や会計士、税理士など名称に『士』がついているもの全般を士業といいます。
弁護士事務所や税理士事務所など士業の人件費率は高めです。
例えば法律事務所は62.9%、公認会計士、税理士事務所が62.2%となっています。
比較的60%前後の人件費率に落ち着いているのが士業事務所です。
運送業の場合
人材不足が叫ばれているのが運送業です。
低賃金で長時間労働という仕事から若者の入植者が減少しているのが原因となっています。
運送業の人件費率は平均40%前後で2013年から急激に上昇。これを中小企業だけに分類すると29%という結果になります。
中小と大企業では差が大きいことが分かります。
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