アンダーマイニング効果とは?

アンダーマイニング効果はデシ(Deci)氏らの実験によって明らかになったものです。
アンダーマイニングを直訳すると、相手の足元の地面を掘るようにして相手のやる気をそぐという意味になります。
これだと、何のことかイマイチ判りにくいですが、現実社会においても重要な事柄になるので、しっかりと確認していきましょう。

アンダーマイニング効果は「これをしたい!」という本人の欲求に対して、他者が報酬を与えると(意外なことに)意欲や興味が低下してしまう現象を指します。
つまり、外的報酬が内発的動機づけを低下させるというわけです。
本来であれば「これを実施したらお金をあげる」といわれると嬉しいものに思いますが、実際のところでは逆効果にもなりえます。
これは押し出し効果(Camererら 1999)や過正当化効果(Lepperら 1973)としても説明されてきました。

アンダーマイニング効果の具体例

アンダーマイニング効果はパズルゲーム(ソマパズル) を使った実験によって明らかにされました。
この実験は大学生を被験者として2つのグループに分け、片方には無報酬で他方には有償という状況下で、パズルゲームに対しての意欲を測定したものです。
結果を見ると両者ともに無報酬でパズルを解いている間は変化はなかったのですが、片方のグループに報酬を与えると、当該グループの学生はこの作業に対して興味・意欲を失ったことが明確になっています。
単純な遊びの対象であったゲームでも、お金を稼ぐための行為と認識すると、純粋な意欲は失われると示唆されていると言えるかも知れません。

具体例としては家事のお手伝いが挙げられるでしょう。
当初は純粋に作業を楽しんで料理や掃除の手伝いをしていても、お小遣いを与えることで、お金をもらう手段に置き換わってしまいます。
けれどもお金をもらえなければする意味がないと感じられ、モチベーション低下に繋がるという仕組みです。

アンダーマイニング効果と対をなす「エンハンシング効果」とは?

アンダーマイニング効果とは打って変わって、褒美を与えれば与えるだけ相手のモチベーションを高めるという効果が「エンハンシング効果」です。
これは1925年のハーロックの実験によって証明されました。
実験内容は褒めるグループ・叱るグループ・放置するグループの3つに分け、子どもの学習効果を測定するというものです。
結果として褒めるグループの成績向上が著しいものとなりました。
これは称賛と叱責では前者のほうが、子供の成長や学習を促す効果が高いことを示唆していると考えられます。

先述のアンダーマイニング効果とは、どこで結果がわかれるのでしょうか。
それは与えられる外的報酬が金銭報酬か言語報酬かによって分かれると考えることができます。
つまり言語的に称賛する・応援するといった報酬を与えた場合には、モチベーションを高めやすいと言えるわけです。

【応用・実例】アンダーマイニング効果をマーケティングに活かそう

このアンダーマイニング効果をマーケティングに活かす上では、このような現象・作用がクライアントや消費者に起こらないように注意することが得策と言えます。
金銭的な報酬を与えたばかりに内発的な動機をもった客のモチベーションを削ぐというのではたまったものではありません。
相手の内在意欲を高めるにはできるだけエンハンシング効果が生じるように考えるのが好ましいでしょう。

こう考えると安易な値引きやクーポンといった外的報酬は、必ずしも適切ではないようです。
「値下げしたのに売れない」という担当者の悲鳴を聞くことがありますが、この点はもしかしたら値下げしたから余計に売れなくなった可能性もありえるわけです。
思い起こせば大企業・有名企業は「お客様感謝セール」などと題して言語的な報酬を併存させているケースが多いように感じられます。
外的報酬の重要性は意識の有無にかかわらず、市場原理に浸透しているのかも知れません。

アンダーマイニング効果ではなくエンハンシング効果が生じやすい具体例としては、特別な記念品や裏メニューなどが挙げられます。
これらはあくまでも言語的というわけではありませんが、精神的に作用することで好影響が期待できるはずです。

より幅広く今すぐにでも実践できるものとしては、やはり相手に感謝の意を伝えるのが基本的で、かつ効果的と言えるでしょう。
機械的にではなく心をこめて感謝することで、いい効果が生まれるという期待ができるはずです。

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