「少ない戦力で大きい戦力を倒す。そんな方法はないものか…」
経営をしている人にとっては常に悩まされている課題の一つでしょう。
2008年リーマンショックによる大赤字だったトヨタの業績を回復させ、ベンチャー企業だったソフトバンクが大躍進をしたきっかけを作った戦略方法としてランチェスター戦略
というものがあります。
もし『弱者が強者を倒す方法』に頭を悩ませているのならば、この記事を是非読んでほしいです。
きっと悩みが解決することでしょう。
目次
ランチェスター戦略を理解するために「ランチェスターの法則」を学ぼう
フレデリック・W・ランチェスター氏が、戦争による力関係はどのように決まるのかを科学雑誌に論文として発表したものがランチェスターの法則です。
ランチェスターの法則には第1法則と第2法則の2つがあり、相手の戦闘力を計算する公式があります。
ランチェスター第1法則とは「戦闘力=武器効率×兵力数」
「戦闘力=武器効率×兵力数」で表されるものがランチェスター第1法則です。
1対1で戦う一騎打ち。狭い範囲で戦い局地戦。または敵に近づいて戦う接近戦を適用しています。
いわゆる槍や刀、弓や鉄砲など近代より前の時代のときの戦いのときの際の法則です。
武器効率というのは、自軍の武器の性能や武器を扱う技術力などのことをいい、兵力数は兵士だけではなく、馬や大砲などを含みます。
例えば世界で初めて鉄でできた船、鉄鋼船の作成や長篠の戦いで当時、最新兵器だった種子島の鉄砲を3000丁使い武田家に大勝した織田信長。
小田原の役など兵力数を多くそろえ他を圧倒した豊臣秀吉が代表例です。
敵に勝つには武器効率か兵力数のいずれかを上回っていれば勝利することができるというのが、ランチェスター第1法則です。
ランチェスター第2法則とは「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」
ランチェスター第2法則は主に近代戦を想定としたもので、「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」で表されます。
ランチェスター第1法則と違うところは兵力数が2乗となっているところです。
なぜ2乗となっているのかというと、一人で複数の相手を同時攻撃する広域戦や敵と離れて戦う遠隔戦をイメージしているからとなっています。
近代になり戦闘方法も様変わりし集団戦がメインになったことで、兵力差というものが第1法則以上に重要になったということでしょう。
実際近代戦において物量が非常に重要なことが、太平洋戦争などの戦いの結果から分かっています。
ランチェスター戦略とはこの法則を企業経営や営業戦略に当てはめたもの
ランチェスターの法則を企業経営や営業戦略に当てはめたものがランチェスター戦略です。
この項目ではランチェスター戦略がどのようにして確立されていったのかを説明していきます。
ランチェスター戦略の成り立ち
前述したようにランチェスターの法則は、イギリス人F.W.ランチェスター氏が発案した法則です。
その後コロンビア大学の数教授B.Oクープマンらが応用し、クープマンモデル(ランチェスター戦略方程式)に応用させました。
クープマンモデルは直接的な戦闘力を『戦術力』、敵の軍の後ろにある、軍事基地や生産拠点など戦争を続けるのに必要な物資を補給する戦闘力を『戦略力』にわけました。
大戦後クープマンらが作った作業研究は、産業界へと応用されていきます。
弱者はランチェスター第1法則を使う
ランチェスター第一法則は戦闘力=武器効率×兵力数、そして主に一対一で戦う際に使用されていたものと前述しました。
理由は大勢力と戦う際は兵力で勝つことはできないので、武器の性能や技術力で兵力差を補って戦うということが大事だからです。
これを現代のビジネスマーケティングに置き換えると、大勢力=大企業、小勢力=中小企業、となります。
競争相手に人員や資金力などで勝つことができない大企業がいる場合、中小企業が戦うには武器効率を補わないと勝つことはできません。
従って中小企業がするべきことは、社員一人一人の能力の向上や今以上に働きやすい環境に社内を一変するなどの改革が必要となるでしょう。
強者はランチェスター第2法則を使う
ランチェスター第戦闘力=武器効率×兵力数の2乗、でした。これは前述したように、一人で複数の相手を同時攻撃することをシミュレーションしているからです。
ランチェスター第一法則と同じように第二法則を現代にビジネスに置き換えると、大勢力=大企業、小勢力=中小企業となります。
大企業が中小企業を圧倒するには中小企業がしてきたことを真似たうえで、大量の資金を投入が必要です。
さらに買収や優秀な人材のヘッドハンティング、テレビなどのマスメディアを使って宣伝をするなど中小企業ができないことをするのが大企業のとなります。
ランチェスター戦略を学んであなたのビジネスにも活用しよう
最後にランチェスター戦略の具体的な使用方法と、ランチェスター戦略を使って成功してきた企業とランチェスター戦略を学ぶによい本を紹介していきます。
法人営業戦略の第一歩、ランチェスターABCとは
ビジネスには様々な戦略がありますが、ランチェスター戦略にはほかの戦略とは違うところがあります。
それは営業現場単位で戦略を立てていくというところです。
ランチェスター戦略は顧客最前線の営業現場にこそ戦略が必要だとしています。
コンビニエンスストア業界で例えていきましょう。
大手コンビニエンスストアは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート以上3つの3つが全体の9割以上を占めているといってよいでしょう。
各社ともに特徴があり、セブンイレブンは南東北、関東、甲信越などに強く、ファミリーマートは東海北陸に強い勢力。
そしてローソンは関西、山陰、四国に多いというデーターがあります。
このように各社地域によって、弱者になったり強者だったり入れ替わりが激しいのがコンビニエンス業界です。
ですが逆に全体のシェアが小さくても、地域全体の市場地位は最も強かったりする場合もあります。
シェア比率がセブンイレブンより低いローソンは関西や山陰地方に強いということです。
従って仮に市場規模が大きいセブンイレブンが関西地方への勢力拡大を考えたときには、地域や販路、商品や顧客などのことを考えて戦略を立てないといけないということになります。
ランチェスター戦略は地域によって弱者や強者が入れ替わったり、顧客や商品がなど異なったりする地域でビジネスをするときに非常に有効な戦略です。
ランチェスター式ABCを使いシェア拡大の戦略を練る
ランチェスター式ABCを使うことで、顧客の格付けやシェアアップの目標と戦略シナリオなどを定めることができます。
顧客分析によるABC分析は重視するポイントを決め、優先度を決めるという分析方法です。しかしランチェスター式ABCはABCで需要規模。Abcで顧客内シェアを示します。
ABCとabcdを掛け合わせることで12通りにするという違いがあり、AaやAbなどのように表します。
例えばAが大口の顧客。aは自社が1番の取引先といった具合で、BCに下がるほど自社が顧客に対する重要度合が減少。
またbcdは、取引先相手に対し自社の取引優先度が低くなっていくということになっています。
【構造シェアについて】
市場を決定づける流通段階のシェアのことです。
構造シェア(%)=(カバー率+Aa率)÷2≒市場シェア(%)という公式で出すことができます。
カバー率とは客数のシェアの広がりのことを示しています。
構造シェアを活用することで、具体的な戦略シナリオが作成できるということです。
ランチェスター戦略の成功事例
ランチェスター戦略を用いて成功した企業は多いです。
ランチェスター戦略の肝である第一法則である弱者の戦略を使い、躍進した起業。
また第二法則である強者の戦略を使った企業を紹介していきます。
ランチェスター第一法則をもちいた成功例
まずは弱者の戦略を用いて成功した企業例を紹介します。
DeNA
今では東証一部にも上場し、球団経営もしているのがDeNAです。
しかし1993年に創業してから2003年までずっと赤字経営でした。
きっかけになったのが携帯電話でゲームなどをするモバゲーというサービスです。
それまで大手のゲーム企業はモバイルには参入していませんでした。
よってDeNAは市場を独占し、大躍進を遂げるきっかけになりました。
セイコーマート
前述したようにコンビニ業界は、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3つ巴です。
それぞれが他の地域でシェアを伸ばそうと躍起になっています。
ですが北海道だけはセブンイレブンを含めた大手三社でも敵わない企業があります。
それがセイコーマートです。
セイコーマートは北海道だけで1200店舗ありますが、セブンイレブンなどの3社は1000店舗以下になっています。
理由は大手3社とは全く違ったサービスや商品を展開することにより、北海道圏で大きなシェアを得ることに成功したからです。
ランチェスター第二法則
つぎに強者の戦略をもちいて成功した企業例を紹介します。
apple
GAFAと呼ばれる米国を代表するIT起業の一角を占めている企業がスマートフォンやパソコン、タブレットなどの製品を発売しているappleです。
Appleの特徴は他社より後から発表し、自社の製品のすばらしさを強調するというもの戦略をとっています。
日本でもコアなユーザーを中心にappleは人気ありました。
しかしapple製品が多くの人に知られるようになったきっかけになったのがiPodでしょう。
iPod が販売される2年前SONYがフラッシュメモリーを使ったウォークマンを発売していました。
SONYのウォークマンにはなかった、洗練されたなデザインをプラスしたことでiPodは日本だけではなく世界的にも大ヒットした商品になりました。
Appleの戦略はまさしくランチェスター戦略第二法則を使っているといいでしょう。
トヨタ自動車
自動車業界では日本だけではなく世界的に有名な企業です。
2009年に低燃費を前面に出したハイブリッド車プリウスは、世界中で売れたので知っている方も多いでしょう。
しかし実はハイブリッド自動車を最初に販売したのは、本田技研工業が開発したインサイトです。
低燃費が大きな売りだったインサイトは爆発的にヒットを記録。
そこでトヨタはインサイトが販売された二か月後、自社の新製品であるハイブリッド車プリウスをインサイトより価格を安くして販売を開始します。
結果、価格が安く世界的に知名度のあるトヨタがインサイトの売上を上回る売り上げを記録し、2014年インサイトは生産終了となってしまいます。
ランチェスター戦略を学ぶおすすめの本
最後にランチェスター戦略を学べるおすすめの本を紹介します。
図解で身につくランチェスター戦略
図解で身につく! ランチェスター戦略[ NPOランチェスター協会 ]
ランチェスター協会によって書かれた本で、ランチェスター戦略がどのようなものか基礎的な部分を知るには非常に良い内容となっています、
図解もされビジネス戦略プランも紹介されているので、初心者でも安心して読める内容です。
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